嵐山って

 どれほどの人々がここを訪れたでしょうか。どれほどの子どもたちが遠足やサイクリングでやってきたでしょうか。いつの頃から、この豊かな自然に触れるため、森の中に入ったでしょうか。そしてたくさんの歴史・文化遺産を目の当たりにして感動を受けたでしょうか。なぜ私たちはこの地をこれほどまで大切にしてきたのでしょうか。
 北海道旭川の市街に接して、自然林が今なお色濃く残っている「嵐山」は、まさに私たちの憩いの場です。そこには上川地方の動物・植物相の大半が含まれる自然が残り、「北海道島」の成立の謎を秘めた地質が見られます。また、アイヌ民族をはじめ、先住民族の遺跡や、明治以降の史跡など、有形無形の文化遺産があります。
 一方、旭川は大きな都市に発展し、人口が増え続けると同時に、近郊の森や林がどんどんなくなってきました。緑と歴史・文化が破壊され、消えていく姿を、私たちは多くの前例で見てきました。
 はたして「嵐山」はどうでしょうか。
 私たちは考えました。幾度も嵐山の森に入り、歩きまわり考えました。このすばらしい自然と歴史・文化を保護し、正しく活用するため、今何をどうすればよいのか。生態学的なつり合いを保ちつつ、自然をいろいろな目的に有効に活用していくという考えの上で、保護保存していくにはどうしたらよいのかと。
 嵐山全体を、自然と歴史・文化をいっしょにした、大きな野外の博物館にしよう・・自然史博物園「嵐山自然と文化の森」と名づけ、たくさんの人たちに、次の世代の子どもたちに、この地の自然のすばらしさと先人の遺産を伝えるために、永く残していこう・・・私たちはそう考えました。